国家や政府が仮想通貨(デジタル通貨)を発行により起こる影響は?

国家がブロックチェーン技術を使いデジタル通貨(仮想通貨のようなもの)を発行した場合、社会にどんな影響を与えていくのかを記事にしていこうと思います。

国が発行する仮想通貨の事を「CBCC(中央銀行暗号通貨)」と国際決済銀行(BIS)※1が名付けています。

国が発行するデジタル通貨とも言われています。

(※1はこの記事の終わりに説明を書いておきます。)

今後「CBCC」や「各国が発行するデジタル通貨」という言葉を目にする機会も増えると思うので、覚えておくことをお勧めします。

6/25追記

スイス国立銀行のシニアバンカー氏曰く、中央銀行が仮想通貨発想の期待は薄れたそうです。

現在のところメリットが少ないからです。

 

中央銀行などが仮想通貨を発行し、流通させることでGDPが上がると計算されています。

イングランド銀行のエコノミストが中央銀行独自がデジタル通貨を発行することで、GDP成長を3%前後引き上げる可能性があるとCBDC(central Bank Digital Currency)論文で発表しています。※2

(※2はこの記事の終わりに説明を書いておきます。)

☆この内容を分かりやすく理解するにはTOKYO MXの苫米地博士が解説している動画などを見ると理解しやすいです。

国を始め、一般社会でも「キャッシュレス」「フィンテック=ブロックチェーン」「仮想通貨」は欠かせない要素になっていくと思います。日本はキャッシュレスにはまだまだ時間がかかりそうです。

関連記事:東京オリンピックまでに日本でフィンテックは広がるのか?

関連記事:知ってて当たり前!?【そもそもブロックチェーンとは何か?】

話はそれましたが、勉強ついでに国がデジタル通貨を導入検討している理由などをみていきましょう。

2018/6/10追記

イタリア銀行副総裁のファビオ・パネッタ氏が中央銀行のデジタル通貨(CBDC)は中央集権的であるがため資産の裏付けをしており、約760億ユーロ(約9兆8000億円)ほど節約できると発言しており、普及した際はメリット同様にたくさんの副作用がある事を報告しています。

 

補足事項

※1.BISとは「Bank for International Settlements」の略称で、日本語にすると「国際決済銀行」と言われています。

スイスのバーゼルに本部があり、各国の中央銀行預金の受入れや為替の売買などを行っており、国際的な金融問題を討論する場になっています。

 

※2.デジタル通貨に利息をつけて、GDPの30%発行すると、GDPが3%上昇すると書かれています。利息を付けることにより、ポンドとは別の通貨として価値が形成されます。

現在だと、市中銀行が国債を購入しても、国際銀行の預金になるだけで国内で流通はせれませんが、利息が付いたデジタル通貨を発行することで、買いオペをする場合、個人や企業から売買することが出来るので効果の上昇が期待できます。更に、金融市場の浮き沈みを抑制するため、利子を変える(利回りを変化させ)デジタル通貨の価値を変更できる事も、マクロ経済的視点だと効果があると期待されています。その他にも多数の効果が見込めます。

 

※3.買いオペは中央銀行が債権などを手形を購入すること。

 

国がデジタル通貨を発行するメリットは?

国がデジタル通貨を発行するとかなり大きな影響がでそうです。

思いつく限り、国がデジタル通貨を発行するメリットや影響を書いていこうと思います。

①銀行に人がどんどん不要になる

銀行などの第三者機関の存在が不要になる可能性(リテール業務が不要になるかも)があります。国が利息を付けてデジタル通貨を発行したら銀行の窓口業務を含め不要になる部署が多数出てきます。

→簡単に言うと直接、中央銀行と個人がやり取りできるようになります。

※実際そうならないように銀行が仲介するシステムにすると思います。

また、AIやブロックチェーン、スマートコントラクトなどにより銀行に関わらず、人員はどんどん削減されていくでしょう。

関連記事:【銀行が危ない!?】金融業はフィンテックによって劇的に変化していくかも!?

2/22にバンクオブアメリカがSECに提出した文書の中で、仮想通貨との競争に強い危機感を頂いていると報告したそうです。

こうした国が発行するデジタル通貨の課題として匿名性

匿名性が高いのはマネーロンダリングに注目が集まりますが、個人情報を守る意味合いでも重要なことです。

実際JPモルガンもZキャッシュと提携して研究されるなど、匿名性の技術にも注目が集まっています。

関連記事:匿名性の高い仮想通貨とは?メリットやデメリット!Dash,Zcash,Monero,vergeなど・・・

②お金の流れを完全把握される可能性がある

ブロックチェーンを使うことで、不正出来ないのでマネーロンダリングや脱税などの不正が減少すると予測できます。

③紙幣の作成や維持コストが削減

紙幣や硬貨などはコストが発生します。10円玉なら銅等、1円はアルミニウム、5円なら銅と亜鉛、100円も銅やニッケルなど材料費が発生しますし、それを作るコストもかかります。

④国が担保となりフィアット通貨同等になる!?

ビットコインなどと違い、国が担保としているのでほぼ法定通貨と同じような扱いになる可能性がある。

 

各国の通貨発行状況

日銀の報告書がとても参考になります。→中央銀行発行デジタル通貨について

また、日銀の報告書が2016年のものなので、1年以上時間が経過する中で各国の動きは更に活発しています。

・イギリス「RSコイン」

→ブロックチェーン関連技術に「Corda」「Hyperledger Fabric」などの名前が出てきます。

・ロシア「クリプトルーブル」

→国家が関与しない形で開発が進むらしいです。分散型台帳が大切なポイントであるため、中央集権的なコインの設計だと実現しない可能性が有る為と言っています。真意は不明です。

ロシアは「Masterchain」

・ドバイ「エムキャッシュ」

・オランダ銀行「DNBcoin」

・カナダ銀行「CADコイン」

・エストニア「エストコイン」

→エストニアは人工が130万人規模の国でかなり小さな国ですが、ブロックチェーンの活用などかなり進んだ取り組みをしています。エストニアは国家を挙げて「エストコイン」発行をもくろんでいます。資金の調達方法もICOで検討中です。

※実際はEU加盟国という事もあり、独自の通貨を発行する権利は無い為、国家主導で独自通貨になりえるものは発行しないと予想できます。もし発行する場合は極端な話EU脱退などになり兼ねないです。

中国「検討中」→中国銀行などはブロックチェーン技術のスケーリングなどで特許申請したり、国としてではありませんが、中国企業の動きはしたたかです。

・日本「エンコイン?」(検討中?)

・ベネズエラ「ペトロ」←ICOによる調達、原油を担保、NEMを使用?

更に金を担保にした「ペトロ・オロ(ゴールド)」を発行。

ベネズエラはアメリカから経済制裁の真っただ中で、デフォルトが懸念されている状態です。

このICOが成功すると、ベネズエラの様な窮地に立たされている国が資金稼げき手段として、どんどん参加してくる可能性があります。※本来のICOとは少しずれている気がしますが・・・。

実際トルコやイランも官製仮想通貨を発行するそうです。もしこうした資金調達にアメリカをはじめEUなどから規制がかかれば、ICOへの風当たりはますます強まり、使用しているブロックチェーン(イーサリアムなど)が国際的な規制対象になりかねないと思っています。今後もこうした各国の動きには注目が集まるでしょう。

3/20追記 : アメリカのトランプ大統領が米国人はICOペドロの購入を禁止したそうです。

また、カンボジアも官製デジタル通貨「エンタペイ」を検討しているそうです。

・イラン「開発中」

・トルコ「トルココイン」

とりあえず以上です。各国に動きがあれば別記事にアップするか追加していく予定です。

 

国を挙げてキャッシュレスを目指す時代

国がデジタル通貨を発行する理由とは少し離れますが、今後はキャッシュレスが普及し、仮想通貨が重要になると思っています。海外では日本と違いキャッシュレス化がものすごい勢いで進んでいます。

すごく極端な例ですが、中国にいるホームレスの方が首にQRコードを付けて、そこに投げ銭をしてもらい収入を得ている人もいるそうです。

キャッシュレスで先進国は北欧ですが、中国もキャッシュレス先進国で「アリペイ」「We chat Pay」など有名な電子決済サービスが多数存在します。

そのサービスを使い、クレジットカードと連携したり、提供元サービスにお金をチャージしているとスマホをかざすだけで決済ができます。

日本でもラインペイやペイモなどが使われています。

すき家でもアリペイの支払いが可能で、アジア圏の方が支払いしやすくなっています。

東京オリンピックまでにキャッシュレス化を図り、外貨獲得の準備を整える必要が国としてもありそうです。

 

決済システムと仮想通貨

ただ、ぺーメントサービスをお店側が導入しないと利用できず、クレジットカードに紐付いて支払いをするので、手数料が発生します。それに対して仮想通貨で手数料がもっと安く取引できるようになれば、日本でも、アメリカでも、アジアでも、アフリカでも、スマホからダイレクト送金出来るため、もっと便利な決済手段になります。

また、今まではお金を銀行預けて管理者がいて、口座から引き落としをしていました。ネットで決済や取引する場合も銀行のサーバー(クラウド上)を使います。また、クレジットカードが銀行と支払いの仲介に入って支払いをするといった事が普通でしたが、それらの管理者不在の状態でネット上に金銭的価値を保存できる(分散型台帳)ことになり、手数料もより安く、しかもいつでも取引でき、更に便利になる可能性が活気的と言われています。

※現段階だと全然広がってないですし、スケーラビリティの問題などで支払い手段としては全然広がっていません。

 

まとめ

・多くの国が国家主導で仮想通貨発行を検討し、実行する国も出てきている

・国がデジタル通貨を発行するメリットは複数あり、コストの削減、利子付きのコインを発行し国債を購入することで、直接売買が可能になる。

→リテール業務が不要になる銀行員がますますリストラになるかもしれません。

・ブロックチェーンにより、改ざん、不正ができなくなる

・不透明なお金の流れがなくなる可能性がある

・国としてキャッシュレスを進めていく可能性が高い

→仮想通貨が更に重要なポジションになってくる可能性が高い

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