【ICOの問題点】をTezosを例に考察してみる!

ICOで200億円を集めた『Tezos』をご存知ですか?

世界最大規模のICOでかなり話題になりましたが、ほぼ崩壊しそうな状態に陥っています。

いろいろな要因がありますが、詐欺的なプロダクトではないと思いますし、

ICOする前からコツコツ準備していましたが、今は崩れている状態です。

今回はTezosについていろいろまとめつつ、今後の日本の動きについていろいろ考えていきます。

※内容に間違いがあった場合、申し訳ありません。その際はすぐに修正します。

Tezosの公式ページ→https://www.tezos.com/

2018/3/20追記 : 当時よりもICO規制が強化されています。ICO案件でも詐欺的なICOを排除しようという動きが活発化してきています。ヴェスタリンは「仮想通貨とブロックチェーンテクノロジーに一歩でも踏み込んだ人全員になくてはならないもの」と称してICOプラットフォームを作っていくそうです。

 

【Tezosとは?】

自己修正型暗号台帳と呼ばれています。(self-amending)

イーサリアムの様なスマートコントラクトプラットフォームです。

イーサリアムとの違いは事前にスマートコントラクトの実行を意図した形で確認出来る様になっています。

事前に動作の不具合が確認出来る為、事故がより起こりにくいという特性があります。

※イーサリアムはThe Dao(ザ・ダオ)の事故が起こりましたが、こうしたことを未然に防ぐことが出来ます。

Tezosはギリシャ語で「スマート・コントラクト」を意味するそうです。

PoS(プルーフオブステーク)によるコンセンサスアルゴリズムで、

トークンフォルダーの投票により開発の方向性や、プロトコルの仕様を決めることが出来る様になっています。

ビットコインやイーサリアムなどはHF(ハードフォーク)するかどうかなど、開発コミュニティの意向に従います。このコミュニティとマイナーの間で意見の食い違いが起こり、問題が生じることがあります。

Tezosは事前に投票を行いロックインなどが出来ます。

従来のBC(ブロックチェーン)の問題克服を目指したブロックチェーンです。

※より細かい説明は後程行います。

ICOでは2.32億ドル集めて最大級の規模になりました。

 

【従来のBC(ブロックチェーン)の主な問題】

①スケーラビリティ(拡張性の問題)

SegWitなどの分裂問題(ハードフォーク)

②PoW(プルーフ・オブ・ワーク)

大量の電気消費

マイナー主導になりがち=非中央集権的!?

従来のブロックチェーンはシステムが修正になった場合、フォーク(分岐)によって情報を修正します。

(※1ハードフォークと※2ソフトフォーク)

※1.ソフトフォークはブロックサイズを変えずに書き込める情報を多くすること。

これは新・旧バージョンに互換性があります。

※2.ハードフォークはそもそもブロックを新しい箱に換えてしまうこと。

ハードフォークは新・旧バージョンに互換性がないです。

このフォークは多数決によって決められますが、ハードフォークの場合は互換性がないことが問題視されています。

ハードフォークがなくても、システムを修正出来るブロックチェーンそれが「Tezos」です。

ネットワークプロトコル、トランザクションプロトコル、コンセンサスプロトコルを独立させることにより、

新・旧互換性を可能にしています。

 

【Tezosの特徴的なシステム】

①Tutarchyと呼ばれる投票システム

→ブロックチェーンの分散的な特徴を維持しつつ、集合知的な意思決定を行うことが出来る。

先ほど紹介した方向性を決めたり、ロックインしたりするシステム。

②OCamlとよばれるプログラミング言語を使っている。

→承認プロセスをより高速・正確に行える。

③独自のインセンティブ

→システムバグを発見したり、修正したらインセンティブを与える制度になっています。

④PoS(プルーフ・オブ・ステーク)の承認システムを採用しています。

より良い決定を行う承認者のトークンを保護し、承認のプロセスの公平性や有効性を高めていく

これにより。電気代などを節約できます。(イーサリアムも最終的にPoSになる予定です。)

こんな凄そうなTezosですが、Tezosショックと呼ばれる危機的状態に陥っています。

 

【Tezosショックとは?】

尚、今回の記事はhttp://markethack.net/archives/52058270.htmlさんを参考にさせていただきました。

とても詳しく書いてありますので、是非一度ご覧ください。

Tezosショックとは簡単に言うと、「創業者とICOを仕切る基金の間で内紛」のことです。

今回の流れは今後のICOに大きく影響していくでしょう。

 

【Tezosの知的財産権は夫妻が所有している】

Tezosの知的財産権の殆どをキャスリーン・ブライトマンとアーサー・ブライトマンの夫婦が所有しています。

この夫妻と基金の間でお金絡みの争いが起こり、開発も進まない状態です。

というより開発者は辞めている?ような状況だと思われます。

内部で投票システムの様なもので運用を決めていくのであれば、

Tezos参加者にお金の使い道などもヒアリングして決定していけばいいんじゃないかと個人的に思いますが、

現実世界ではそうもいかなさそうです 笑

 

【夫妻の主張】

この夫妻が基金の責任者のヨハン・ガーヴァースを解任しろと要求しました。

もし、この要求が受け入れられない場合、夫妻はTezosのプロジェクトから降りるそうです。

 

【基金側の主張】

「夫妻の口出しはスイスのICOの習慣に背く行為」と伝えています。

 

【スイスのICOの習慣とは何?】

スイスにある、ズーク群の法律が重要なポイントになるようです。

この場所は「クリプトバレー」と呼ばれるほどICOしやすい場所で、群ごとに独自の法律があるそうです。

※クリプトバレーはイーサリアム発祥の地で、税金が安く、仮想通貨は有価証券でなく、資産と考えられるようです。

さらに仮想通貨は特別なライセンスが不要で、ICOなどを多数の実績を持つ法律事務所がある為、

クリプトバレーと呼ばれて注目されているそうです。

 

【ズーク群の取り決め】

群の取り決めでは『ICOを仕切る基金に従って活動を行うこと』になっています。

TelosのICOで集まったお金(一般投資家から集めたお金)は基金への寄付という扱いになっています。

この寄付金の使用目的はTezosの完全なプラットフォーム完成にだけ、使われることが目的と定められているそうです。

 

【基金側の主張その②】

ICO参加者は必ずトークンをもらえる「法的な請求権」はありません。

これを認めてしまうと「有価証券を販売した」に該当してしまうそうです。

ICOに参加した人はあくまで、投資家としてトークン完成時にそれを利用する権利だけが認められています。

こうしたことを前提とし、

スイスの弁護士事務所は「トークン販売をしていないので、有価証券の売り出しではない」と主張しているそうです。

さらに、基金は非営利団体なので、ここから利益が出ないし、利益の山分けのような覚書もないそうです。

基金は自己の最大化の為に活動し、投資家(寄付者)の利害を優先してはいけないということになっています。

投資家の有価証券を管理する会社ではないと主張しています。

基金はトークンの分配方法をジェネシス・ステートメントで定めていますが、

この分配方法があくまで提案であって暗示的(ぼんやり)としたものでした。

そもそも、これは出資したコミュニティ(夫妻など)がこの分配方法を承諾しないというリスクがありました。

今回は夫妻が意義を唱えました。

これが大まかなTezosショックの流れです。

Tezosは今後「リング署名」「ゼロ知識証明」を取り入れて、より魅力的なシステムになる予定でしたが、

今のところ、ストップ状態にあります。

 

【Tezosの他の問題点】

ICOの儲けている投資家の話をしますが、正しくプレセールで大金を売り抜けた人がいます。

しかも、その大金を売り抜けた人がなかなか著名な方で、

それが原因でTezosへの期待感が高まった要因でもあります。

ティム・ドレイパーという投資家が参加を表明しましたが、プレセールで大量に購入し。

値上がりしたところをすぐに売りさばいたそうです。

今後のICOは大口の投資家や開発や運営側はロックアップする規制が出来てくると可能性はあると感じます。

※因みに『Ripe』というICOにもティム・ドレイパーも参加しています。

 

【TezosのICOから分かる問題点】

・ICOの外部で『お金の問題』が起こると崩壊する可能性がある。

・知的財産と基金など管理しているチームが一枚岩でないと崩壊する可能性がある。

・ICO自体、開発チームの人数は3名程度が多く、プロダクトの完成もこの人達に依存している。

・大口投資家はプレセールなどで格安で購入し、上場後早々に売り抜けてしまう可能性がある。

など問題は多く見受けられます。

これから起こる日本のICOの場合、不公平感が出ない様にするために、

・開発チームを自社で抱えているか?

・法律面や資金管理は国内で行っているか?

・トークン発行後の暴騰や売り抜けを防ぐ手立てを考えているか?

など学んで活かせそうなことも多々あります。

 

日本のICOに関して国の動き

10月28日に金融庁から注意喚起がされていました。

ICO(Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~

※金融庁の公式HPでPDF資料になります↑

中国の様に禁止に向かうのか?保護的な立場をとり、適切に運営できるように程よい制限を設け、

より健全な市場になっていくのか?今のところはまだ分かりません。

国内で見るとCOMSAやSBI CapitalBaseのICOプラットフォームで健全にプロダクト販売などが行われることが、

大切な判断材料になってきそうですね。

ちなみに、『クローバーコイン』の連鎖販売会社である、

48ホールディングスは消費者庁により、

3か月間、連鎖販売取引に係る取引の一 部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)を停止命令を受けました。

※消費者庁の公式HPのPDFです↑

クローバーコインに関しては一度、ご自身で調べてみてください。笑

前回の記事が参考になれば幸いです。

【ICO 投資】詐欺から学んだこと!参加時のポイントまとめ!

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

TezosはICOを行う実質的な運営者と基金側で衝突が起こり崩壊しかけています。

ICOが詐欺かどうか?ということだけでなく、こうしたリスクも新たに考える必要があります。

なかなか、投資家目線で判断がつかない問題ですが、

基金の管理する人たちと、開発者の関係性などもSlackで質問するなど、

投資家側が賢くならないといけないと感じます。

こうした記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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